ヨセミテ 2004 (ショートルート編)

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9/8。昨晩は泊まるところがなく、各キャンプ場の受付も終っていたのでCamp 4にもぐりこんだ。Camp 4では、場所を確保したらタグをくれ、それをテントにつるしておかないと見まわりにきたレンジャーに叩き起こされ怒られることになる(Camp 4に最初に泊まった夜それを知らずタグをつるしておかなかったため叩き起こされた)。なので、レンジャーがくるまでに撤収すればとりあえずは怒られることも罰金を取られることもないのである。とはいいながらこんなことをやっているといけないので、本当はきちんと受付をしましょう。いつ帰るのかわからないなら、無駄かもしれないが本当は滞在する期間内は確保しておくのがいいのだろう。1泊たったの5ドルだし。
とにかく早めに起きてテントを撤収し、Camp 4の受付で3泊分を確保。ガソリンがだいぶ減ったので、Crane Flatまでガソリンを入れに行った(Valley内にガソリンスタンドはない)。今日からはショートルート中心にフリークライミング三昧。爪先はまだ良くならないが、あまり悪くもなってない。短い時間であればクライミングシューズもはけるだろう。

9/8夕方。Camp 4から歩いて3分くらいの岩場、Swan Slabでショートルート。写真ではなかなかわからないが、ボルトがほとんどなく岩が綺麗。ヨセミテ全体で言えることだが、ボルトの数は本当に少い。終了点やラッペルステーションなどで本当に必要なところ以外にはほとんどボルトはない。當然フェイスのルートもとても少い。ここではクラックを、ナチュラルプロテクションを使って登るのだ。また、日本に比べるとルートの密度がとても低い。これは、フェイスにボルトを打ったルートがほとんどなく、クラックルートが大部分だということの當然の帰結だろう。これがヨセミテのトラッドなフリークライミングというものか。
実は、ナチュラルプロテクションでリードしたことは一回もないのだが、カムをクラックにセットしそれに体重をかけるといったことはビッグウォールのトレーニングでやっていたので、早速リードでトライしてみる。フェイスのグレードとクラックのグレードがぜんぜん一致しないのは日本でも経験済みなので、とりあえず5.6とか5.7のルートをやってみる。落ちることはないものの、やはりフェイスの5.7からは考えられないような難しさを感じる。この日はまったりと3本ほど登って終了。

9/9午前中。朝早めに起きてManure Pile Buttressへ。これまた駐車場から5分もかからずに取付きに行ける。めちゃ近い! 目的のルートはAfter Six (5.7, 6p)。5.6が登れるようになったらここ、という意味でafter sixなのですな。が、なんとなく隣のAfter Seven (5.8, 6p)に変更。同様に、5.7が登れるようになったらここ、ということでafter seven。実は第3ピッチからはAfter Sixに合流するので、難しいのは下の2ピッチ。まずは先生が最初に2ピッチをリード。3,4のリードが自分。第3ピッチからAfter Sixに合流するはずが、先行パーティがいたため待つのもアレだしということで、すぐ横にあるC.S.Concerto (5.8, 3p)の第3ピッチを登った。グレードは5.7くらいだが、やはりクラックはそう簡単とは思えない。また、最初のクラックが終ってからのフェイスの部分でプロテクションを取るところがまったくなく結局15mくらいランナウト。そのフェイスのセクションは5.5くらいのグレードなので、落ちる気はしないが、あれだけランナウトすると精神的にちょっと辛いものがなきにしもあらず。第4ピッチはふたたびafter sixに合流して自分のリードは終了。ここではビレイポイントもナチュラルプロテクションを使って作らないといけないのでこれが緊張。自分の作った支点が抜ければ全員大怪我か死んじゃうんだから責任重大である。通常は3つくらいカムをセットすればいいみたいだが、念のために4つか5つを使って支点を作った。各カムに加重を均等にかけるために今回コードレット(7mm x 5mのコードで輪を作ったもの)を持っていったがなかなか便利だった。最後の2ピッチは高森君がリード。最終ピッチは3つくらいバリエーションがあったが、一番難しい5.8のルートを果敢に選んで完答。なかなか面白いけど自分がリードするとしたらちょっとビビるだろうなというルートだった。
なんだかんだと14時頃に

9/9午後。昼間は暑いので昼食を食べて少し仮眠などを取り、夕方すこし日差しが弱くなったところで昨日と同じSwan Slabへ。5.9のクラックルートを先生がリードしたあと、トップロープで二三回練習。トップロープだと落ちないんだけど、リードするとなるとちょっと厳しいんだろうな。リードしたかったが暗くなったので終了。

9/10午前。やはり早目に起きて、今日もManure Pile Buttressへ。早くいかないと陽が出て暑くなるし、人気ルートだと混雑するのだ。今日はNutcracker (5.8, 5p)。五つ星ルートである。最初の2ピッチを高森君がリード。次を自分がリードするが、どういうワケか足がすぐにガタガタ震えてしまってうまく登れない。疲れ? 時間がかかったがなんとか完登。次の二つは先生にリードしてもらう。フォローで行くとぜんぜん問題ないのでリードが下手クソなだけなのかも。特に、カムを選んでセット・テストして、という登り方だと時間を食うので、下手クソな登り方をしているとどんどん疲れてくる。しかも、こっちのルートは長い! ショートルートでもマルチピッチでも、1ピッチが日本の2倍から3倍くらいあるような感じ。岩の途中にボルトを打って無理矢理終了点を作るようなのがほとんどなく、テキトーにキリの良いレッジでピッチを切る(まさにledge to ledgeですな)ので、岩が大きいぶんピッチも長い。ロープも、50mよりは60mのほうがいろいろと便利そうな気がした。

9/10午後。Church Bowlという場所に行ってみた。ここも駐車場から1分ほどで取付きに着く。アプローチが短いのがホントに助かる(もちろん長いアプローチの岩場もある)。Uncle Fanny (5.7, 1p)を登ってみた。トポにはチムニーの良い入門だと書いてあるが、チムニーにしては狭く、バックアンドフットはできない。けっこう手こずり、ズリズリと上がっていくがなかなか抜けられない。チムニーというよりはオフウィドゥスという感じのセクションが終り、最後にフィンガーサイズのクラックのセクションがはじまるところでカムがなくなった。大きなのが一つ残っているがそんなのセットできるような広いクラックはもうなさそう。抜けるまでに7〜8mあるのでどうしようかと迷ったがとりあえず行ってみた。このセクションのグレードは5.7程度なので、落ちることはないのだが、プロテクションが取れないとやはりちょっと緊張。なんとか上まで行けた。ルートが長いので持っていくカムが少いとこういうことになってしまう。しかし、たくさんのカムを持っていくのは重いし引っかかるので嫌。なかなか難しいものである。

9/11午前。今日は最終日。連日暑い中登っているのでさすがにだいぶ疲れている。少しゆっくりめに起きてテントなどを撤収し、Glacier Point Apronに向かう(駐車場から少し歩く)。ここは6年ほど前に上部の岩が大崩壊したところらしいが、マウンテンショップで聞くと登れるということなので(崩壊したのはルートがあるあたりから少しずれている)行ってみた。トポには陽が当たるのが午前中だけと書いてあるので行ってみたのだが、昼ごろになってもかげにならない。疲れもありなかなかハーネスが着ける気にもならないが、昼すぎにようやく岩にはかげがさしてきた。そして、この日ヨセミテに来てはじめて雲というものを見た。Harry Daley (5.8, 2p)というこれも五つ星のルート。1ピッチめを先生、2ピッチめを高森くんがリードで氣持良く登った。
Harry Daleyから降りて昨日も行ったChurch Bowlへ向かう。取付きのあたりで昼食をとり、これまた五つ星のルートBishop's Terrace (5.8, 2p)に挑戦。1ピッチめのリードが自分。2ピッチめが先生。疲れもあって時間がかかったが完登。
これで今回のクライミングは終り。最後まで一度も落ちることがなかったが、それはつまりぜんぜんトライしてないということ。ちょっと残念だけど、ヨセミテの雰囲気にはじめて触れることもできたし評判のルートも登れたし、まぁそれはそれでよかったのではないかと。またそう遠くないうちに来たいものだ。